看護師として職場選びをする時に、わたしは何科に向いてるの?なかなか分からない時がありますよね。
向いてるのは外科?内科?
大きく外科向きか内科向きで分かれる気がします。
職場で出会う看護師にも外科でバリバリやれそう、と思ったり、内科で患者さんに寄り添う看護をやってそう、とか、もしくは、この人は外科なのか?意外に内科なのか?と勝手に想像してたりします。
わたしが自分は内科向きだと思うのは、患者と深く関わりたいと思うからです。
内科の患者は長期的な治療が必要な人が多く、入院期間も長くなりがちです。退院したけど再入院するというケースも多く、関わりは深くなります。
わたしが経験した内科での看護
わたしがこころに残っている、内科で経験したことや、感じたエピソードです。
泣いてしまい病室に入れなかった患者の娘
入院していた女性患者の話です。白血病で化学療法をしていましたが白血病とは本人への告知はされていませんでした。
治療の副作用でつらい状況なのに小説を読んだり、弱音を吐かない人でした。
ある日、娘さんが面会に訪れて、病室の前を通り過ぎて行きました。
様子がおかしいと思い追いかけていくと、その娘さんがぽろぽろ泣いていたのです。
患者であるお母さんの前では泣けないから病室に入れなくなったのです。告知していないことも大きかったでしょう。偽らないといけない重荷もあったと思います。
ただただその辛い思いを受け止めて背中をさすることしかできなかったです。
息子の前では凛としていた患者
血糖値のコントロールが悪くて何度も入院してきた年配の女性患者がいました。
おしゃべり好きで、ちょっと噂話も好きなおばちゃん患者です。一人暮らしで食事もいい加減になっていたようで食事指導もしていましたが、守れなかったようでした。
その患者に癌が見つかり、それもかなり進行していて痛みなどの症状も出始めていた頃、息子さんが面会に来ました。
すでにご主人は亡くなっていて、高齢出産だった一人息子を可愛がって育てたようです。息子さんが面会に来たのは初めてでした。
それまではちょっとだらしない雰囲気さえ感じる患者でしたが、息子さんがベッドサイドに座っている間、背筋を伸ばして凛とした佇まいで上半身を起こしていました。2人の間にはあまり会話はなかったようでした。でも息子の前では凛としていたい、最期までしっかりとした母親でいたいという気持ちが伝わってきました。母としての顔が見えた瞬間でした。
それまでの入院では知り得なかったその患者の一面。何度も入院してきて、その患者を知っている気になっていたわたしには、反省と、人は多面的であることを学ばせてもらいました。
同じ患者と何回も関わった内科病棟こその経験かと思います。
握手を求めてきた患者
30歳代前半の男性患者がいました。家族とは音信不通という訳アリな感じで、検査で末期がんだと分かったあとも面会に来る人はいませんでした。その人は民間療法の本なども読んだりと、とにかく生きるために藁をもすがる思いだったと思います。
痛みも強くなってきて最初は拒否していた麻薬を服用することも承諾してはいましたが、プラセボ的に処方された薬を内服すると楽になる気がすると言いプラセボの処方を希望しました。でも処方されたのは麻薬でした。
希望した薬を出してくれない。その患者が主治医へ不満を持つのが伝わってきました。それ以前から主治医とギクシャクしているようでした。
医師とはいえ、もともとは外科の医師で、末期がんでまだ若い患者とどう接していいのか分からないという戸惑いがあったのか、その患者とはうまくコミュニケーションがとれていないと感じていました。
その患者の気持ちを知りたいと思いベッドサイドで話を聞かせてもらいました。
そして主治医へ患者の希望や、プラセボでも楽になるからその薬を処方して欲しいと頼みに行きました。
主治医は話を聞いてくれて、わたしにこう答えました。
ねえ、わかる?膵臓の癌なんだよ。本当に痛いんだよ。プラセボが欲しいなら処方はもちろん構わないけど、本当に痛いんだよ。ちゃんと麻薬で痛みを抑えてあげないといけないでしょ?
患者の気持ちに寄り添ってるつもりだったわたしは、患者の本当の痛みに対して理解していなかったと気が付きました。そして患者から逃げていると感じていた主治医が、本当はちゃんと助けようとしていたことに気がついたのです。
ベッドサイドに戻り、その患者へ、医師へ話したことと医師からの返事を伝えました。そして医師があなたに寄り添っていることも伝えました。
その患者は話を聞き終わった時、あなたがそうやって医師に話してくれた様子が目に浮かぶようです、本当にありがとうと手を差し出してきました。
その後、その患者は状態が悪化していき個室になりました。
身体もむくみ、両足もパンパンで、自力では立ち上がれなくなりました。
ある日、その個室からナースコールがなり、ヘルパーが患者が歩きたいと言ってきかなくて困っているとのコールでした。
わたしともう一人の看護師で駆け付けると、もうろうとする意識の中で、歩きたい、歩かせろ、と叫ぶようにその患者が言うのです。
もともと、背のとても高いガッチリした患者でした。歩きたい、生きたい、そう思っていたのだと思います。
わたしは心を決めて、3人がかりで立たそうと思いました。「分かりました。わたしの肩に捕まってください」そう言いました。
それまではせん妄も加わり、歩かせろ、や乱暴な言葉になっていたその患者が、わたしの言葉を聞いて、わたしが肩を貸そうとしたら我に返った感じで、「あ、大丈夫です。すみません。大丈夫です」と言ったのです。
わたしは小柄でした。たぶん、声で小柄な看護師を思い出してくれて、とてもじゃないけど、この小さな看護師では立ち上がれない、迷惑になると思ってくれたのではないかと、今でも勝手に思っています。
その後、まもなくその患者は亡くなりました。わたしが最も忘れられない看取りでした。
わたしの看護が正しかったのかどうかは分かりませんが、じっくりその患者と向き合えたのは、内科だったからだと思うのです。
きっと内科の看護師は、それぞれに忘れられない患者がいるのだと思います。
外科好き看護師が語る外科の特徴
内科は採血など多いですが、外科は手術前の点滴や注射などの処置も多いですね。
医療処置が少ないとやりがいがないという看護師もいます。
内科だと治り具合が目で見えないから分かりづらい
外科は手術して治療します。悪い所が取れたか、傷口が塞いでいくか、など治療の成果や経過が目で見えますよね。
内科だと、どうしても血液データなど検査データが中心となるので、目に見える部分での評価が難しくなります。
内科もとても忙しいですが、波があります。内科は患者の具合が悪くなると忙しくなりますが、外科の忙しさは何時にこれをやる、など時間で動くことが多く、時間で区切られてる忙しさだと思います。
病棟により雰囲気の明るさが変わりますね。外科の方が明るいイメージがあります。
内科でも深刻な疾患が多い病棟は、どうしても雰囲気が暗くなります。内科のどの分野かでも雰囲気は変わりますね。
好きも才能:内科、外科以外の選択肢
好き、も才能の一つです。好きだとその先へ自然に進める選択を取れるし、なにより好きで関われるのはポジティブになり、よりよい看護につながりますよね。
好きも才能その1.こころが好きなら精神科向き
精神科に進む看護師は、本当にこころに興味がある人かと思います。
内科?外科?ううん、精神科、みたいな。(←表現が難しい・・・)
こちらの記事が参考になるかと思います。
好きも才能その2.子ども好きなら小児科向き
子ども好きなら小児科という選択がありますね。
小児と成人って、いろんなことが違いますよね。正常値も違うし、看護の視点も違うし。なので新卒から小児科に行くのは心配だと思う人もいますが、子どもが好きな人は小児科はおすすめです。
なぜかというと、小児が苦手な看護師もいるからです。小児が苦手な看護師は、自分から小児科は選ばないですよね。小児が好きってところで、もうすでに小児科に向いているのです。
わたしは子どもを産むまで、子どもが苦手でした。カワイイと思うよりも、得体が知れなくてナゾな生き物、という気持ちが先行してしまうのです。
なので子どもが好き、ってところで、すでに小児科向きだと思います。
好きなのか、好きではないのか、相手は敏感にキャッチすると思うんです。好きも才能、好きな道がおすすめです。
まとめ
わたしは何科に向いているのか?って、やってみないと分からないところはありますが、わたしの経験から、内科をやってみたいな、または反対に内科は向いてないかも、など、少しでも参考になったら嬉しいです。