初めて看護師として働く時、一番興味があったのは精神科でした。
家族にこころの病気を持ってる人がいるので、選択肢として常に頭にあったのです。
でも、結局、内科が主科で精神科も少し入った混合病棟を希望しました。
学生の時の精神科実習も、とても充実していましたし、今でも心の世界は惹かれますが、興味はあるものの精神科はやっていません。
では、どんな人が精神科に向いていると思うか、わたしがなぜ精神科を希望しなかったかをお話ししたいと思います。
精神科に向いていると思う看護師は?
精神科の患者さんは、一般の患者さんと比べて、「普通」のコミュニケーションがとれないことがあります。
体調や変化などを聞いてみても、その返答が、実際と合ってないこともあるでしょう。
また心の変化を口にするのも難しいですよね。
なので精神科の看護師に向いてると思う人は、
・コミュニケーションをとるのが好きで思慮深い人
・観察力がある人
・自ら勉強できる人
・待てる人
・自分のメンタルを保てる人
だと思います。
コミュニケーションをとるのが好きで思慮深い人が向いていると思う理由
精神を患った患者さんの回復には、医療者への信頼感が大きく影響します。
長期的な治療が必要ば場合がほとんどで、その治療を支えるのは信頼関係になってきます。
看護師への信頼感が治療へ影響したり、症状そのものの改善に関わってくることも多いです。
ただ、たんにコミュニケーションをとればいいのではないですね。
不用意な言葉を言ってしまったら、症状を悪化させることも充分あり得ます。
他の一般の患者さんと接するのに比べて、看護師の発する言葉は大きな影響力を与えます。
自分の発する言葉の「つい、うっかり」が許されないので、思慮深く、自分の言動を統制できる人が向いています。
観察力がある人が向いてると思う理由
精神科の患者さんに状態や気分を聞いたとしても、その時の状態をはっきり言える患者さんは少ないのではないでしょうか。
また中には自分の病気を受け入れられていない人もいます。
そんな患者さんとは会話で状態を知ることは難しい場合が多いと思います。
表情や態度、行動などで、患者さんの状態を把握する必要があるので、些細な変化も気づける観察力が必要です。
自ら勉強できる人が向いていると思う理由
精神科は楽だとよく聞きます。
体力的になのかもしれませんし、ルーチンワークが出来ていれば、特に問題が起きないということかもしれません。
楽をしようとすればできてしまうのかな、と思います。
しかし、精神の問題って、人が生きていく中で、とても重要な部分だと思うんです。
生きるか、死ぬかの選択をしてしまう患者さんもいます。
わたしの個人的な希望も込めて、楽をする方へ流れず、勉強し続けられる人が向いてると思います。
どこの科を希望したとしても、一緒ということですね。
待てる人が向いていると思う理由
患者さんのペースに合わせられるか、ということでもありますね。
薬の副作用や症状で、動きが緩慢になっている患者さんもいます。
自分の世界にこもってしまって、なかなか現実の世界に戻ってこれない患者さんもいます。
それぞれの状態を見極めて、ペースを合わせる、強引なことをしない、など、患者さんに合わせて待つことができる人が向いていると思います。
自分のメンタルが保てる人が向いていると思う理由
始終、常識的な会話が出来なかったり、常識が通用しないところにいると、自分を保つことが難しくなるのではないかと思います。
自分の信じている常識は、はたして正しいことなのか?
自分が考えていたことは、はたして正しいことなのか?
自分の中の「正しいこと」に常に戻れることが必要かと思います。
また患者さんから心ない言葉を言われる可能性もありますし、時には身の危険を感じることもあるかもしれません。
自分のメンタルを保てる人が向いていると思います。
気分転換も上手に使いたいですよね。
わたしが精神科へ行かなかった理由

わたしが看護師20年ちょっとやってましたが、精神科へ進まなかった理由は2つあります。
看護師のスキルが身につかないと思った
精神科へ行こうか悩んだのは、新卒の時です。
その時に精神科へ行っていたら、看護スキルが身につかない、と思いました。
反対にいうと、精神科の看護師としてずっとやっていこうと思う心構えが出来なかったためです。
次に職場を変わる時に、怖がりなわたしは、おそらく一般の科へは行けなくなると思いました。
いま、こうやって振り返ってみると、看護師として色んな場所で経験してこれたので、
一般の科へ就職して良かったと思っています。
精神科は、内科など他の病気を患っている患者さんもいますから、精神科以外の知識も必要です。
ただ、一般の内科や外科などに比べて看護技術を使う頻度はとても低くなると思います。
でも、とても奥深い領域ですね。
自分のメンタル維持が難しいと思った
精神科へ進まなかった一番の理由です。
共感する気持ちに引っ張られて、自分のメンタルを保つのが大変だと思いました。
異常と正常を、判断しないといけない。
傷なら客観的に判断できますが、
心の異常、正常の判断って、わたしのこころの基準ですよね。
おそらく、わたし自身が、そういう基準の枠がすごく大きめなので、
患者さんを異常だと判断できるのか?というところが究極でした。
そのまま、まるっと受け入れたい気持ちの方が勝ってしまうような気がしました。
今のわたしには無理だな、と思って選びませんでした。
そのまま今に至っています。
まとめ
こころの世界って本当に奥深いですよね。
最近では心理学の本を読む機会もあったので、やはりとても惹かれる分野です。
患者さんにとって、回復へ向かう大きな存在になるかもしれませんし、やりがいはとてもあると思います。
興味のある方の参考になったなら嬉しいです。