わたしは患者の爪切りが好きで、爪切りを持って病室を回ったり、訪問看護をした時も、いろんな状況で爪切りをしてきました。
そういう経験の中から、安全に爪を切るために大切にしていたことをお伝えしたいと思います。
爪切りの環境を整える
安全に爪切りができるように、まずは環境を整えます。
手元を明るくする
爪を切る手元を明るくしましょう。
病棟なら、ベッドランプなど工夫できますよね。
訪問の場合も窓の近くや照明の下など、できるだけしっかり見える明るさを確保しましょう。
切りやすい体勢を整える
患者の体位だったり、自分の体勢を、爪が切りやすい体位に整えましょう。
ちょっと切るくらいだから、と体勢を整えずにやってしまうと、意外に看護師の腰に負担がきたり、患者の指を回転させないと切れない、ということになり(回転させてはいけません)、結局、姿勢を整えないといけなくなる場合があります。
急がば回れですね。
患者に聞くこと
爪切りの時間は、完全に1対1の時間。コミュニケーションが苦手だな、と思う人も、次のことを聞いてコミュニケーションをとってみてください。
体位を決めながらや、切り始める前などに聞いてみると安心です。
深爪で痛くなったことはないか
「これまで深爪して痛くなったことはないですか?」
深爪で痛くなったことのある人は特に長めに切る必要がありますね。
中には、「短く切って」と言ってくる患者もいました。
その場合は、1本切って見せて、これくらいでいいですか?と確認をとって、どちらにせよ、安全のために、ちょっと長めに切りますね、と声掛けして長めに切るようにしましょう。
爪切り後に化膿したことはないか
特に治療中や抵抗力が下がっている患者は、爪切りは注意が必要です。
また巻き爪の患者は爪周囲の皮膚にトラブルを起こしやすいです。
深爪にしない、また爪の角を深く切らないスクエアカットにするこはことが大切ですね。
スクエアカットにする
以前、巻き爪の患者の爪切りをしたら、スクエアカットが不十分で爪の角が赤くなってしまったことがありました。抗生物質の軟膏と爪が伸びてきて痛みもなくなりましたが本当に注意が必要ですね。
スクエアカットとは
歩くことが減った高齢な患者に巻き爪の方が多いですね。
普通の爪切りでは切れずにニッパーなどが必要な場合もあります。
特に足の親指は巻き爪予防にもスクエアカットを心がけましょう。
高齢者は皮膚カットに注意
高齢な方の爪先って、爪と皮膚がくっついてる方がいます。
爪の白い部分だからと思い、皮膚も一緒に切ってしまった!ってことにならないように注意が必要です。
手背側から見た白い部分を信用しないように
わたしは若かりし頃、手背側から見た白い部分だけを見てカットしてしまい、出血させました。
分かりやすくピンク色にした部分。
必ず指の腹と爪の境目を確認してくださいね。
高齢な方で指先が柔らかくなっている方に、こういう指先の方はけっこういらっしゃいます。
指先の皮膚が柔らかくて切ってしまう可能性がる
また指先がふにゃふにゃと柔らかくなっている方がいます。
介護度が高いベッド上生活の患者に多い気がします。
爪切りで挟み込みやすいので、注意が要りますね。
解決方法は爪先の皮膚を引っ張りながら切る
イヤだイヤだ、怖いじゃないか、爪切り・・・と思っちゃいますよね。
わたしがやっていた指先の皮膚を巻き込まない方法は、
患者の指を持っている方の指で、患者の指の腹を体幹の方へかる~く引っ張りながら切るといいですよ。
切る前に必ず指の腹の方から見て、どこまで切っていいか見ておくのが肝心です。
痛みを訴えられる速さ
自分の爪切りって、簡単だと思いませんか?
なぜかって考えたら、肉を切りそうになったら、痛みで教えてくれるからだと思いませんか?
他人の爪切りって、痛みが分からないからこそ、インシデントのように受傷させてしまう可能性があると思うのです。
なので、簡単なのです。
痛みを訴えた時に、その瞬間に止めればいいのです。そしてその時に切れてなければいいのです。
なので、ゆっくり切ればいいのです。
特に難しそうな指先の患者、いますよね。
ゆっくり切りましょう。
そして「イタっ」と言われた瞬間に切ってなければいいのです。
爪切りを始める時に「痛かったらすぐ言ってくださいね」とお願いしとくといいですね。
長めに切る(長めに切ったと伝える)
ちょっと長めに切るようにしましょう。
そして長めに切っときましたよ、と伝えておくことが大事です。
切ってもらったのに、長いんだよね、という不満が出ないように、「また伸びたら切りましょうね」とひとこと付け加えるといいですね。
ヤスリで引っ掛かりをなくす
どちらかというと、爪の長さよりも爪の引っ掛かりの方が気になる場合がありますよね。
ヤスリをかけずに爪の引っ掛かりが残っていると
ちょっと掻いただけなのに皮膚に傷がつく、寝衣の交換の時など引っ掛かる、爪が割れる可能性などが出てきます。
またヤスリをかけると、丁寧にやってもらったという感覚になるのではないかと思います。
時間にゆとりがない時は切ってはいけない
看護師って、本当に忙しい仕事なのに、ミスができない仕事ですね。
あせりはミスの元です。
落ち着いた気持ちで、患者とコミュニケーションを取るような気持ちで、爪切りができたらいいですね。
わたしが爪切りで出血させてしまったのは、爪の腹側から見て皮の部分の確認をしていなかったことと、時間がない焦りからでした。
わたしのインシデント、あなたの爪切りに是非お役立てください。
まとめ
爪切り、実は好きな時間でした。
ちょっとゆとりがある時でしか、なかなかやれないですよね。
忙しい現場ですけど、安全に爪切りが出来たらいいな、と思い、わたしの小技(コワザ)をご紹介しました。