訪問看護

訪問看護の利用者数を増やすには?半年で黒字転換した営業とトーク方法。

私が所属していた訪問看護ステーションが、トップが交代して徐々に経営が厳しくなりました。
新しいトップと共にステーション全体で営業方法を考えたり営業活動などをして経営がV字回復、半年でかなりの収益を上げていました。
私は他の分野で少しだけ営業をした経験もあり、それも生かすことができたかな、と思っています。

あれ?何だか新規の利用者数が減ったな・・

営業担当になって、と言われて途方にくれている・・・そういう看護師さんはいないですか?

営業方法や営業トークってどうしたらいいの?

困っている人は参考にしてください。

だれに、どこに営業すればいいのか

利用者数を増やすのに、どこにアプローチしたらいいのでしょうか。

まず訪問看護を使用する利用者さんは、どういう流れで訪問看護を利用するでしょうか?
訪問看護ステーションに指示書を出すのは医師ですが、最初は事業所までは指定していない場合が多いです。
例えば入院中の患者さんが訪問看護を導入する場合、どんな事業所がいいのか具体的に探すのはメディカルソーシャルワーカーです。

他にメディカルソーシャルワーカーから地域包括センターへ連絡がいき、その地域包括支援センターから訪問看護事業所へ依頼する場合もあります。
もう利用者さんにケアマネージャーが付いていたら、ケアマネージャーが訪問看護事業所を探します。
利用者さんが直接、あそこがいい、とか指定することは、ほとんどないです。

訪問看護ステーションに依頼を出すのは
入院先の病院のメディカルソーシャルワーカー
居宅介護支援事業所のケアーマネージャー

が大半です。

利用者さんがまだ入院中だったら、メディカルソーシャルワーカーケアーマネージャーからの依頼が大半だと思いますし、自宅で過ごしている方なら、そのケアマネージャーからの依頼が多いのです。

メディカルソーシャルワーカーは何処にいる?

病院の中にメディカルソーシャルワーカーを設置している病院があります。
在宅支援、地域包括ケア病棟がある場合などメディカルソーシャルワーカーが在籍していますし、大きめな病院はもちろん、最近では小さな地域密着型の病院でも在籍している場合が増えてきました。

入院中の患者さんが退院後にどのような援助をしたら生活できるか、どのような援助をしたらいいのかを考えます。
訪問看護を利用した方がいいと思われる場合、メディカルソーシャルワーカーが利用先を探します。

メディカルソーシャルワーカーは院内の患者さんの話を聞きに回ったり、看護師などからの情報を得たりと、院内を忙しく動き回っています。
アポイントなしで営業に行っても会えないことが多いと思ってください。

ケアーマネージャーは何処にいる?

利用者さんに看護師の介入が必要になった場合にケアマネージャーが動いて訪問看護ステーションを探します。
ケアマネージャーは居宅介護支援事業所に所属しています。
独立した事業所もあれば、病院に付属している場合もあります。

病院に付属している居宅介護支援事業所の場合は、主に自分の付属している病院の訪問看護ステーションに対応の依頼を出す場合が多いです。
しかし、それだけではなく、付属病院ステーションでは対応が難しい場合や、新規受け入れ制限中の場合など、付属以外の訪問看護ステーションにも依頼を出します。

単独の居宅介護支援事業所の場合は、どこともフラットな関係です。
しかし、やはり信頼関係が築けているステーションや、利用者のニーズに合ったステーションに依頼を掛ける場合が多いです。

ケアマネージャーの仕事も、利用者さんの家を回ったり、会議に出たりと多忙です。
急に会いに行ってもお目当てのケアマネージャーが不在の場合が多いです。

何より大切なのは利用者さんを大切にすること

営業うんぬんに関係なく、利用者さんを大切にすることが全ての前提になります。
紹介した側にとっても、利用者さんを紹介したけど、どうも良くない、、、と評価されたら、次に依頼をしようとは思いません。

また利用者さんへの対応が、可もなく不可もなく・・・普通だな

そういう評価をされたら、次回からは紹介されない可能性もあります。
訪問看護ステーションが増えてきて、選ぶことができるからです。

利用者さんの口から出る評価も大きいです
「あそこの看護師さんには良くしてもらってる」
「あそこの看護師さんはいつも優しく親切で」

利用者さんの生の声も業績に直接影響してきますね。

訪問看護ステーションとしての信頼がないと事業は続けてはいけないですよね。
利用者さんに親切に、利用者さんを大切にしていれば、ステーションの評価は上がります
まずそこは最低限大切にしたい点ですね。

在宅診療所の相談員や医師からの依頼も

安定して質のいい看護を提供できたり信頼ができていると、在宅診療所の医師からの指名があったり、相談員からの依頼がある場合もあります。
難しいケースだったけど連携が良くとれていた、と評価されたら、医師からステーションを指名される場合もあります。
私が所属していたステーションはこのパターンも増えて、同じ医師が積極的に名前を出してくれていたようです。

た新しくできた訪問診療所も利用者さんを獲得するために営業活動をしている可能性があります
新しくできた訪問診療所があったら、積極的に営業するといいでしょう

仕事をしている関係機関を大切にする

これは、何の世界でも一緒ですよね。
一緒に仕事をしている関係機関は大切にしましょう。
日々の対応、利用者さんへの関わりが大切になってきます。

またこれまで依頼をくれた人はいますか?
その人は何処の会社、または病院のどなたですか?
どこの包括支援センターのどなたですか?

依頼をくれた人は、あなたのステーションを選んでくれたのです。
他の所より、あなたのステーションを選んだということは、とてもありがたいことですよね。

そこの事業所には、ケアマネージャーが複数いることもあります。
あなたのステーションが「感じがいい、仕事をお願いして良かった」と思えば、一緒に働いている他のケアマネージャーにもお勧めする可能性があります。

ほうれんそうを大事に

関連機関との報・連・相は大切です。
利用者さんとの情報共有なでで電話連絡などをすると思います。
その時の電話の応対なども、丁寧に、親切に、明るくなど、一緒に仕事をするのが気持ち良くなる対応をしましょう

また「あそこにお願いしたけど、なんだか頼りない」なんて思われないことが大前提です。

利用者さんの変化など、電話連絡が頻繁なら相手の負担にもなります。
ケアマネージャーも複数の利用者を担当していて、それぞれ電話連絡がきたり、資料を作ったりなど大変忙しいです。
 
 
電話でなくても伝えられる、緊急ではない場合はFAXを利用するなど、相手の負担も考えながら連絡方法手段を選ぶように心がけましょう

具体的にアプローチするポイントは

具体的にステーションの営業をする時に必要なのは、アプローチポイントです。

訪問看護ステーションがその地域に1カ所しかないのなら必要ないかもしれませんが、ライバルが増えてきている中で選んでもらうには、「このステーションは何が強みなのかな?」ということです。

ステーションのアプローチポイントを考える

例えば小児科に強い看護師はいますか?
ストーマについて詳しい看護師、など、
もし認定看護師が在籍していたら、大きなアプローチポイントですね。
また専門看護師が在籍していても大きなアプローチポイントです

もし認定看護師や専門看護師が在籍していなかったらアプローチポイントはないでしょうか?
そんなことはありません。

例えば、看護師歴が長く経験歴もある看護師が在籍していたら「確かな経験と実績」が売りになりますね。

反対に若手ばかりでアプローチポイントがないのでは?というと、そうではありません。

「フレッシュで元気をお届けする」ことが出来そうですね。

訪問看護の現場では、「若い看護師さんに来て欲しい」というニーズはあります。
正直に言うと結構ありますね。特に男性利用者さんからですけど。(笑)

こういう希望が出るのは、本当は看護師の年齢うんぬんではなく、疾患を持ち自宅で生活している中で、少しでも明るく元気に過ごしたい、という気持ちの表れなのではないかと思います。
 
 
特に特化した技術を持っている看護師がいない場合も

穏やかで優しい
元気で明るい
親切、丁寧

など、売りになるポイントを小さくてもいいので上げていきましょう。
そして24時間対応や夜間緊急コール体制なども安心のアピールポイントになります。

また現在は直接は看護に結び付かないようなことも立派なアピールポイントになります。
例えば
・英語や中国語、韓国語など外国語が使える
・アロマなどマッサージができる
・フットケアに熟練した看護師がいる

など、プラスアルファなユニークなこともアプローチポイントです

私がいた訪問看護ステーションは、認定看護師や専門看護師の在籍はありませんでした。
一人一人の看護師はとてもしっかりとした素晴らしい看護師ばかりでしたが、活字にできる特化したアピールポイントがない状態でした。でもその中でアピールポイントをピックアップさせていました。

アピールポイントはスタッフで共有することが大事

アピールポイントはできたら、スタッフ全員で一緒に考える方がいいと思います。

なぜなら、考えて共有することで、スタッフはそのポイントを意識することになるからです。

また一人で考えたアピールポイントだった場合、スタッフの気持ちにそぐわなかった場合は無理が生じてスタッフの不満になる可能性もあります。

そしてアピールポイントが決まったら、A4サイズなどステーションのチラシを作るのをお勧めします。

・ステーション名
・スタッフの雰囲気の分かる全体写真など
・アピールポイント
・所在地・電話番号・電話受付時間など

記載しましょう。

営業方法の具体例

ステーションのトップの人が直接営業に出向くのが一番アピールになると思います。
ステーション=顔になる人がいると強いですね。しかし実際は一人では忙しくてとても回れない、という場合もありますね。
その場合は、利用者さんの受持ちが出向いてもいいですね。利用者さんの報告をするタイミングなどは違和感なく行けるのではないでしょうか。

ケアーマネージャーに毎月送っていた計画書を持参する、
訪問診療所に送っていた医師への報告書を持参する

そんな小さなことで、手間がかかることですが、その手間が大切です。
そしてそのタイミングで作ったチラシと責任者の名刺、また自分の名刺など渡しましょう。

・経営が悪いからと悲壮感を漂わせてはいけない
・あまりにも必死になられたら相手に引かれてしまう

名刺を作っていない看護師さんがいたら、名刺を作ることをお勧めします
営業の場もそうですが、担当者会議をするなど、他の関連機関の方が集まる場は、名刺を渡す場面が非常に多いです。
スタッフが渡せる名刺があると安心と信頼に繋がります。

・相手の仕事の邪魔になってはいけない
・短時間でしっかりアピールする

営業に行くのにアポイントを取ってから行くのでは、相手もその時間を空けなければならず負担が大きいです。
計画書や報告書を渡しながら、または近くを通った際などの営業がいいです。

では実際、どうするかというと
計画書を渡すなど利用者さんの報告をして、そして作成したチラシを渡します。
ここで注意するのは、ただ渡すのではなく、チラシを開いてお見せします。

そして

「今、新規の方とか、いらっしゃいますか?うちのステーションでは今、新規の方の募集をしています。
〇〇〇〇(アピールポイント)のスタッフが揃っています。新規の方がいらっしゃいましたら、是非よろしくお願いします」

と伝えします。
 
 
「宜しくお願いします」とチラシを手渡ししただけでは、なかなか目が通せていないと思ってください。

しかし、コロナ渦の現在、直接営業に出向けない場合もありますね。
積極的に出向いたら、反対に「感染予防対策はどうなっているのか?」と思われるかもしれません。

その場合は、郵送する計画書などと一緒に、「直接お伺いしてお渡ししたいところでしたが、感染予防の為、郵送させていただきました」と一筆添えてチラシを同封しましょう。

そして電話で話す機会がある時に、「新規の受付をしています。新規の方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします」と一言添えましょう。

まとめ

地道な作業で、なかなか大変ですよね。
看護師で営業を経験するというのは、普通はなかなか経験できないことなのではないかと思います。

訪問だけでも時間に追われて大変かもしれません。ちょっと遠回りになる場合もありますね。
しかしその努力が少しづつ伝わっていくと思います。
少しでもお役に立てたなら嬉しいです。